任意整理で減額されないケース
1 任意整理で減額されないケースは主に3つ
任意整理をすると、一般的には、債務の残元金と和解日までの経過利息や遅延損害金の合計額を3~5年(36~60か月)で分割して返済することになります。
これにより、将来利息がカットされて債務総額が減額されるとともに、月々の返済額も下がります。
もっとも、次のようなケースにおいては、債務総額または月々の返済額が下がらないことがあります。
①債権者が任意整理に応じない
②諸事情により将来利息の支払いを求められる
③もともと月々の返済額が低い
④借入期間が短い・長期間滞納している
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 債権者が任意整理に応じない
貸金業者や金融機関以外の個人に対する債務や、未払いの税金・社会保険料などについては、通常任意整理はできません。
また、あまり多くはありませんが、経営方針上任意整理には応じないとしている貸金業者等も存在します。
このような場合は、任意整理による減額は困難ですので、個人再生や自己破産などの方法を検討することになります。
3 諸事情により将来利息の支払いを求められる
任意整理においては、将来利息をカットできることが多いです。
しかし、貸金業者等の経営方針によっては将来利息がカットされないことがあるほか、普段は将来利息を請求しない貸金業者等であっても、これまでの返済状況等によっては将来利息を請求することがあります。
例えば、借入れをしてから一度も返済せずに任意整理をした場合や、換金目的が疑われるショッピング履歴が多数ある場合、滞納が長期に及んでいる場合などが挙げられます。
4 もともと月々の返済額が低い
任意整理をすると、債務の残元金と和解日までの経過利息や遅延損害金の合計額を3~5年(36~60か月)で分割できます。
多くの場合、月々の返済額も下がりますが、もともと月々の返済額が低い場合には、計算上任意整理をすると逆に月々の返済額が高くなってしまうことがあります。
5 借入期間が短い・長期間滞納している
借入期間が短い(利息をあまり支払っていない)、滞納が長期に及んでいる等の事情があると、返済条件の交渉の際に、1~2年などの短い期間での分割返済を求められることがあります。
分割返済の期間が短いと、その分月々の返済額は高くなります。